今回の記事では、ゴスペルアーティストたちに共通する一つのことを取り上げたいと思っている。その共通点とは・・・

人種にこだわらない

驚く人も少なくないかも知れないが、ゴスペル・ミュージックは単なるブラックミュージックではない。実際ゴスペルは黒人、白人、アジア人といった特定の人種のための音楽ではないのだ。「ゴスペル」を一番シンプルな方法で解釈すると、良い知らせ(good news)という意味になる。だから、ゴスペル・ミュージックについていえば、その本来の意味は、希望と愛のメッセージを世に伝える音楽のことを言っているのだ。そして、ゴスペルは、困難に直面している人に平安を伝える音楽なのだ。「君は絶対にうまくいくんだ」、「辛いことがあるかもしれない。でもそれは人生においての挑戦であって、あきらめない心を強く持てば必ず高いレベルへ上っていけるんだ」こんな励ましのメッセージを届けてくれるのがゴスペルだ。
 そしてもう一つ忘れてほしくないことは、良い知らせであるゴスペルは、人種、国籍、階級などによる分裂や差別には断固として反対しているということだ。

宗教ではない

現在日本が直面している、ゴスペル・ミュージックに対する最も大きな勘違いは、ゴスペル・ミュージックを宗教音楽だと思っている人々が多くいるということだ。宗教というものは、神に近づくための手段として、人間の手によって作られたものである。そして、人生の本当の答えを一生懸命に手探りで探し求めるところから宗教は始まった。とこらが、ゴスペルは、そのようないわゆる「宗教」とは根本的にし性質を異にしているのである。
 しかし、ゴスペルは、宗教を信仰する人々や真理を探し求めようとする人々の心を決してさげすむことなく、むしろ尊いとみなしているのだ。否、ゴスペルは宗教ではない。宗教を信じるのも信じないのも個人の自由だが、宗教を全く持たない人でも、あるいは、いかなる宗教を信じる人でも、共有できるのがゴスペル・ミュージックの素晴らしさなのだ!  そういう点からすると、ゴスペルは宗教を超えていると言えよう。この地球上に生きる全ての人々へのラヴ・ソング 一それが、ゴスペルなのだ。

教会だけでやっている音楽ではない 

また、ゴスペル・ミュージックは多くの人が思っているように、教会だけで限られた音楽ではない。教会に行くことだけが、君たちをゴスペル・ミュージックに導くわけではないのだ。ゴスペル・ミュージックは、愛、平和、励ましに満ちたユニークなメッセージを、音楽のジャンルを超越して伝えることができるのだ。ロック、アーバン・プレイズ、カントリー、R&B、ヒップホップ、ワーシップ、レゲェ・・。
ゴスペルは実にバラエティーに富んでいる。このように、さまざまな形態の音楽の中から、自分の好きな種類の音楽を選んで、いつでもどこでも楽しむことができるのだ。しかも、心が落胆するようなことばや拒絶のメッセージではなく、一愛、励まし、希望、命とバイタリティーにあふれた歌詞を満喫することができるのがゴスペルの醍醐味なのだ。
 私たちの住む地域社会の中で、私たちは希望や愛や自信を失った人たちを見かけることが多い。彼らの知らないところで、彼らのことを心から気にかけ、そして彼らのすべて、ありのままを受け入れてくれる人がいるということを、彼ら自身が知る必要があるのだ。
 ゴスペル・ミュージシャンの共通点はリレーションシップ=個人的な関係  生粋のゴスペル・ミュージシャンたちが信じていることは、宗教ではない。彼らが共通して持っているのは、私たちを気遣い、助け、サポートし、励ましてくれる、かけがえのない大切なひとりの人との関係である。私たちの過去や心のキズ、そして失敗に関係なく、ありのままの私たちを心から受け入れてくれる、愛に満ちたかたとの個人的な直接の関係を実際に持っているということ一それが、生粋のゴスペル・ミュージシャンたちに見られる共通点なのだ。そして、その生き生きとした彼らの現実の関係から来るインスピレーションたちは曲を書き、パフォーマンスするのだ。彼らは、エネルギーと力に満ち、常に肯定的に前進し続け、ハングリーであるとともに非常に心満たされているのだ。だから、ステージに立つためにわざわざ何らかの物に依存する必要がないのだ。このインスピレーションと力が生粋のゴスペル・アーティストたちが持っている共通点なのである。このインスピレーション無くしては、彼らの音楽も人生も決して成り立たないのである。